「江差・松前千年北海道手形」で旅する、道南西部の松前半島観光。
「上ノ国プラン」に同行してきた。
朝、函館を出発した定期観光バス「江差・松前名所周遊号」は、
厚沢部で立ち寄り、江差観光をした後、上ノ国の勝山館跡ガイダンス施設を見学した後、道の駅「上ノ国もんじゅ」に到着。
上ノ国町は、今から500年前・室町時代に東北地方から北海道へ
当時は「蝦夷(えぞ)が島」と呼ばれていたころに、和人が移住した地。
北海道の礎が見てとれる貴重なまちだ。
「文殊浜」と呼ばれていた地名から名付けられた、
「もんじゅ」のレストランからの景色。
日本海が一望できる。

ここで、手形に含まれる特別弁当「上ノ国御膳」をいただく。
上ノ国町産の海の幸・山の幸をつめた、定期観光バス限定のメニュー。
高級魚であるヒラメ(この地方では「てっくい」と呼ばれる)の天ぷらが目玉。

上ノ国まち歩きガイドの、笠谷愛美さん。
地元出身、バスガイドなどを経験し、
Uターンして観光協会に所属する若きガイドさん。

笠谷さんの案内で、国重要文化財である「旧笹浪家住宅」を見学。
北海道に現存する民家では、道内で1番古いとされる建物。
1800年代前半の建物、ニシン場の網元の家だ。

道内に残るニシン番屋建築の原型ともいわれる内部は、
むきだしのすすけた梁が印象的。

中には常駐ガイド・辻美保子さんが案内してくれ、
「こうれん」と呼ばれる昔から伝わるお菓子をいただく。

つづいて、お隣の「上ノ国八幡宮」へ。
こちらも道内に現存する神社としては1番古い建物。
本殿は1699年、建立。
神社であるが、お寺のような佇まいが特長だ。

そして、そのお隣にある北海道内で最も古いシリーズの最後は、上國寺本堂。
室町時代の1443年に開基したと伝えられる、道内有数の由緒ある古寺。

ここは内部を見学することができる。
豪華絢爛、金箔がふんだんに使われている。
らんまに印象的な意匠が施されるなど、見どころたっぷり。
いにしえの力がみなぎるパワースポットだ。

そしてツアーは「勝山館」へと実際に歩いて上る。

標高100mの丘陵の上に築かれた「勝山館跡」。
「館(たて)」とは、戦国時代のお城の役割を果たした場所。
ここに数多くの建物があり、たくさんの人々が住んでいたことがわかっている。
アイヌと和人の混住が話題となった場所でもあるそう。

その勝山館のさらに上にある、「夷王山(いおうざん)」。
標高159mの山頂からは上ノ国市街はもとより、
江差や遠くは奥尻島までが見える。
山頂にある夷王山神社の鳥居がシンボリックだ。

トレッキングの後は、「さとう果樹園」さんにクルマで移動。
この地で果樹園を営む3代目の佐藤真治さんが案内してくれる。

サクランボ狩り、30分食べ放題!
「佐藤錦」ほか4種類を食べ比べできる。
「糖度が20〜23度にもなる」(佐藤さん)という驚異的な甘いサクランボは絶品。

その後は、「湯ノ岱(ゆのたい)温泉」へ。
正式名は「上ノ国町国民温泉保養センター」。
珍しい炭酸泉の温泉で、源泉かけ流し。
3種類の温度の浴槽があり、長湯ができる。
この日のまち歩きガイドツアーはこれで終了。
各宿泊施設へ送っていただく。

この日の宿は、癒しの宿「よ志栄(しえ)」さん。
和風の門構えながら、洋室もある旅館。

前浜に上がった新鮮な魚介類が味わえる。
カエルの鳴き声をBGMにぐっすりと眠った。

2日目は、「上ノ国スペシャルまち歩き」の後半戦。
約2時間、前日と同じガイドの笠谷さんが笑顔で案内してくれる。
スタートは、「上ノ国観音堂」へ。

この日は毎週土曜日に集まっているという、
地元の保存会のお母さんたちと交流。

こちらには、全道1大きな円空作「十二面観音立像」があり、
実際に手にさわってみることができる。
明治4年、棄却される難をのがれた後、
地域の住民の手によって観音堂を建立して祀られているそうだ。

その後は、「花沢舘跡」へ。
ここは15世紀に北海道南西部に築かれた「道南十二館」の一つ。
いわゆる「コシャマインの戦い(1457年)」で陥落しなかった「城」跡。
今はなにもない場所だが、まさに「夏草や兵どもが夢の跡」。

そして最後の案内場所「上ノ国館調査整備センター」へ。
ここは、廃校を利用して歴史や文化を紹介する施設。
各種資料室の他、旧体育館には昔の道具が展示されさわることもできる。

その後は、道の駅「もんじゅ」さんのクルマで送迎していただき、ランチタイム。
写真は、ご当地「ひやまカレー」バージョンの「夷王山Wカレー」(左)と、
地元名産の「フルーツポーク丼」(右)。
(料金は別途)

上ノ国町のゆるきゃら「カミゴン」を囲んで記念撮影。
ランチの後は、12:40、定期観光バス「名所周遊号」に再び乗り込み、
松前へ向かった。
ガイドの笠谷さんを始め、町の伊勢昭彦さん、鈴木魅さん、
「もんじゅ」の松吉裕之さんらに、
どこまでも親切にもてなしを受けた2日間。
北海道における、和人の第一歩を知ることができる上ノ国町。
歴史のイマジネーションがふくらむ旅となる。
・「江差・松前千年北海道手形」
上ノ国千年北海道プラン 1,650円 3日前までに予約
宿泊、2日目の昼食は別途 体験は別メニューもあり