時の人。
民主党幹事長の小沢一郎氏の本を読む。
「小沢主義(オザワイズム)~志を持て、日本人」
から。
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●田中角栄という傑出した政治家から教えを受けた。田中のオヤジから教えてもらったことは数知れないが、その中でも今でも最も感謝していることの一つが、
「地道な選挙活動を行え。手をぬくな。徹底的に有権者と接しろ」だった。
「とにかくたくさんの有権者に会え。恐れず、ひるまず有権者の中に飛び込んでいけ。それは必ず君の財産になる」、と新人候補たちに言っている。
もちろん、最初は誰も相手にしてくれないだろう。だが、それを乗り越えていかなければ、政治家になる資格はない。
まずはとにかく、一軒一軒のドアをたたいて、自分自身であいさつして回ることだ。
●戦後の日本には政治がなかった。
昨日よりは今日のほうが、そして今日よりは明日のほうが暮らしがよくなるという高度成長期には、政治の出番はあまりない。
これはたしかに事実だ。
では、この時代の日本において、政治はいったい何をしていたか。
それは、高度成長で生まれた富をどうやって公平に分配するかということに尽きた。
こうした「富の再分配」を考えるのが戦後政治の唯一の任務だったといっても過言ではない。
また、それで済んでいたよき時代だったのだ。
しかし、この結果、日本は政治不在、リーダー不在の国家になってしまった。
●これまで、日本の政治を動かしていたのは、官僚たちだ。
霞が関で働いているお役人たちは、東大法学部卒のエリートであり、清廉潔白な人々である。そういうエリート官僚たちが日本を支えてくれたほうがずっと安心だ、という「官僚信仰」なる思想が国民に定着してしまった。
しかし、それは間違いだ。
たとえ彼らが優秀であっても、官僚は政治を行ってはいけないのだ。
なぜなら、官僚には「結果責任」がないからだ。
政治家は、選挙という場により自分の信念を国民に問う。もしまちがっていれば、その政治家は落選する。
ところが、これに対して官僚の場合は主権者である国民の信任投票を受けるわけではない。
●リーダーとは、自分の目指すものを明確に掲げ、自分で決断し、自分の責任において実行できる人物である。
●教育の問題も深刻だ。親が子供になによりも伝えなければいけないのは、「自立せよ」というメッセージだ。そして、そのために必要な知恵を教える。
それが教育の原点だ。
しかし、戦後日本の教育システムは本質的に欠陥がある。
それは、現在日本の義務教育は誰も最終的な責任を負わない仕組みになっているのだ。
日本中が無責任社会になっていると僕は書いてきたが、それは教育もまた例外ではない。
●日本人は何か問題があると、すぐに「お上に何とかしてもらおう」と考える。
日本人のモラル低下という問題は本来、日本人みなが考えなければならないテーマであって、法律に愛国心を盛り込んだからといって解決できる話ではない。
やはり国民一人ひとりが、この国をどういう国にしたいか、明日の日本を支える若者たちにどのような人間になってほしかを真剣に考えていかない限り、本当の教育改革は生まれない。
そして、新しい日本も生まれてこない。僕はそう思うのである。
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ご本人のことは、TVを通じてしか知らないが
あの語りぶしが伝わってくるような、そんな内容だ。
ずばり、本質論が書かれている。
しかも、内容が平易だ。
日本は今、明治維新に次ぐ変革期であるという。
この時代の大きな変わり目には、皆をひっぱるリーダーが必要だと説く。
ご本人が登壇するのは、そう遠くないのかもしれない。
ただ、1点。
氏の考える、経済戦略。とりわけ、これからの日本のとるべき成長戦略について言及がなかった。
アジア大中華構想と温室ガス削減に関する、産業分野のビジョン。
このあたりのことについて、聞いてみたい。